汚染水の浄化処理方法
2011年の東日本大震災の時、福島第一原子力発電所(以下、「福島第一原発」)で放射性物質が漏出するという忌まわしき惨事が起こりました。1986年に発生したチェルノブイリ原子力発電所事故に並ぶ重大な事故として、世界を震撼させました。
福島第一原発での事故をめぐり東京電力側の責任が問われるなか、東京電力側は廃炉プロジェクトを立ち上げ、そのプロジェクトの一環として汚染水の浄化処理の問題に取り組んでいます。ここでは、東京電力が実施している汚染水の浄化処理について簡単に解説します。
東京電力が実施している汚染水の浄化処理
汚染水の浄化処理においては、「汚染水に含まれる放射性物質による影響を軽減できるか?」が焦点となります。
まず、セシウム吸着装置および淡水化装置を用いて汚染水に含まれる放射線物質であるセシウムやストロンチウムを除去します。その後、多核種除去設備(ALPS)での処理で、放射性核種を除去していきます。この時点で、トリチウムを除く大部分の放射性核種を取り除くことが可能となります。
ちなみに、トリチウムとはいわゆる「三重水素」と呼ばれるものであり、自然界、さらには我々人間の体内にも存在します。ベータ線という放射線を放出しますが、そのエネルギーは極めて微弱です。水を飲んだりといった日常の行為を通じて取り込まれることはあっても、新陳代謝を通じて体外に排出されるため心配無用です。